◆水中編◆

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●リンケージの防水

 リンケージロッドを外部に出す方法にもいくつかありますが、おおまかに分けるとパイプを通すか防水ブーツを使う方法になります。リンケージは往復運動のみで、回転運動が無いため動力軸の防水よりは単純な形で済みます。最も簡単なのが、中にグリスを塗ったパイプの中を通す方法で、それなりの防水効果はありますが、グリスの量を増やすために途中の径を太くすると防水効果は高まります。また、パイプの端にOリングを取り付けたり、浮きゴムを付けたり、中のシャフトにOリングを取り付けたりといった方法もあります。

 ボートやオフロード・カーなどのラジコン用に、防水ブーツと呼ばれている製品が売られています。ゴムで出来た蛇腹のチューブですが、これの基部をメカ室側に接着し、反対側のすぼまった方をリンケージロッドに固定します。伸縮できるチューブ素材であれば何でも使えますので、自転車の虫ゴムを使った方法などもあります。蛇腹の伸縮長以上には可動出来無いので、リンケージの可動範囲に気をつける必要があります。また、ゴムは経年劣化で亀裂が入って浸水する場合があるため、こまめにメンテナンスをする必要があります。

●開口部の防水

 ドライハルやセミドライハルの場合、ハルとメンテナンスハッチの間にパッキンが必要となります。素材としては柔らかく、密着し、水を通さない素材を使います。最もよく使われる素材はゴム板で、中でもネオプレーンゴムなどの柔らかい素材が使われます。他には、バスコークといったシーリング材を使ってパッキンを作る方法などがあります。

 WTCの場合は、筒とキャップの間にOリングが使われており高い水密性を発揮します。

●ケーブルの防水

 電飾のための電力線やアンテナと言ったケーブルを水密としたメカ室から外部へ出す場合があります。隔壁に穴を開け、ケーブルを通した後にエポキシ接着剤やバスコークでシールするのが簡単ですが、メカの交換などで取り外す際には再度シールしなおす必要があります。いっぽう、キャップとOリングなどを使い、ケーブルの着脱が容易に出来るようにするアンテナホルダーなる製品も存在し、販売されています。

 ケーブルの先がそのままですと容赦なく浸水しますから、ここも防水する必要があります。エポキシ接着剤や瞬間接着剤で隙間をふさぐのが効果的です。

●舵

 水中モデルの動きは上下左右と3次元のため、水上モデルに比べて舵の数も増えます。チャンネルの都合で全ての舵を動かせない場合もあるでしょうし、また動かす必要も無かったりします。

 最も単純な構成は、方向制御のための縦舵のみを動かし、深度調整はスピード調整で行う方法です。船の進むスピードが速ければ潜っていき、スピードを落とすと浮いてくるように調整します。

 縦舵以外に、横舵や潜舵を可動として潜航時の制御に用いる方法は最も良く使われる方法です。この場合、どちらか片方だけでも十分に制御は可能ですし、横舵と潜舵を独立して動かすことにより、潜航時の姿勢制御も出来るようになります。

 ポンプジェット推進のSFモデルなどでは舵が無いため、この場合はポンプジェットの噴射口のノズルを左右上下に動かすことで水流を制御し、進行方向の操作を行います。また、透明なアクリル板などで潜舵を作り潜航・浮上に使う方法もあります。



●潜航方法

 水中モデルの潜航方法でもっとも簡単なのが、浮力を水に浮く程度にしておき推進力で深度を調整する『ダイナミカルダイブ』と呼ばれる方法です。単純であるために調整も比較的容易で、水中モデルではもっとも良く使われる方法になります。

 実物の潜水艦のようにバラストタンクを持ち、タンク内に水を注排水する事で浮力の調整を行って潜航する『バラストダイブ』と呼ばれるタイプもあります。注水時にはベント弁を開けて水を入れ、排水時にはポンプで排水したり高圧ガスを注入したりする方法や、注排水共にポンプで行う方法があります。

 その他、船体に水平なスラスターと呼ばれるスクリューを使い潜航・浮上する『スラスターダイブ』と呼ばれる方法もあります。

●ノーコンに備える

 潜航中にノーコンになってしまうと、最悪の場合沈没、浸水となってしまいます。プールや浅い池など回収が容易に出来るような場所であればあまり問題にはなりませんが、そうでない場合にはせっかく作った模型が海の藻屑と化してしまう危険があります。そのため、ノーコン対策としてフェールセーフという機能を持たせることがあります。

 フェールセーフとは送信機の信号が途絶えた時に、特定のサーボを操作して所定の動作をさせる機能になります。バラストダイブのモデルであれば排水する、ダイナミカルダイブなら潜舵なり横舵なりを上げ舵にしてモーターを回します。フェールセーフを内蔵した受信機もありますが、外付けでサーボとの間に取り付けるタイプのものも販売されています。

●ピッチコン

 水中モデルの動きが3次元であることは上に書いた通りです。通常水中モデルの操作を行う際は、やや上から見て行います。そのため、左右方向のずれはすぐに分かり、コースがずれた時に舵を当てるのも容易です。しかし、水の中では上下方向の動きがよく分からなくなります。そのため、上下方向の当て舵を行いながら操縦するのですが、これではピッチング(船首・船尾が上下に揺れること)が大きくその動きも見ていてきれいなものではありません。そこで出てきたのがピッチコンとローラー、略してピッチコンです。これはハルの傾きに合わせて潜舵や横舵の角度を変えるパーツで、きちんと調整さえすれば上下方向の当て舵はほとんど不要でまっすぐに進ませることができます。

水ものラジコンによく使われているのが、エンゲルのピッチコンです。

 下の動画はピッチコンを搭載したラジコン潜水艦が潜望鏡深度で走航している場面になりますが、このように一定の深度を保ったまま進むことが出来るのです。

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