◆プラモデル潜水艦、ハルの加工◆
第1回 ハルを上下に切断

Back 1 2 3 Next

 潜水艦のプラモデルは、左右に分割されているものが多く、ラジコンへ改造するには分割面を上下に分ける必要が出てきます。このページでは、ハルを分割する方法についてまとめました。

●使う道具

 ハルへ切断面をけがくために、トースカンと呼ばれる道具を使います。任意の高さにけがき針を固定することができ、横に滑らせることで水平にけがくことが出来ます。美術関係や機械工具のお店で購入できます。鉛筆などを挟むようになっていて、けがき針でけがくだけでなく、筆記具で線を引くことの出来るものもあります。


 トースカンでけがいたラインは細く浅いため、上のようなけがき針でより深くけがいてやります。要領はプラモデルの筋彫りと同じです。


 実際にプラモを切断するのに使用する道具としてエッチングノコを使用します。模型用に発売されている薄刃のノコギリでも十分なのですが、それでは刃の厚さが厚いため、より薄い刃のエッチングノコを使用します。0.1mm、0.15mm、0.2mmと言った厚さのエッチングノコが模型店にて販売されています。

●エッチングノコ使用上の注意


 エッチングノコは非常に薄いため、無理な力を掛けすぎたり、乱雑に扱うとすぐに刃が曲がってしまいます。細かい部分を切るのには、写真の用にデザインナイフの歯先として使えるものを使うと良いでしょう。

●切断

 ここからは順番を追って、ハルを切断する工程を見て行きましょう。


 まずは、ハルを船台にしっかりと固定します。上はU-Boat Type 212Aですが船台とハルとは『ウルトラ多用途SU(コニシ)』で接着しています。この接着剤は硬化後に接着面を傷つける事無く簡単にはがすことが出来るので、仮止めにもってこいです。


 ハルの切断をどこで取るか決めます。ハルを水平な台に置いて、上写真のA点とB点の間に水平な線を引くのですが、A点とB点の位置をどう取るかによって、船台の下に薄い紙やプラ板を敷いたりして傾きを調整します。


 切断面を取る位置ですが、出来れば、ハルの最も幅のある所(上写真Aのライン)で切るのが望ましいです。Bのラインで切断した場合、ハル切断後に取り付ける上下ハルの位置合わせに使用するタブがハの字になってしまい、取り外す際にハルやタブの部分にストレスがたまってしまいます。

 以下の作例では、『レベル 1/72 U-Boat Type VIIC』を使用していますが、この作品では切断面をBにしています。ここがちょうど喫水線となるため塗装が楽になることを狙ったのですが、ハルの上下を合わせるのに苦労しました。上写真Bの位置にタブを取り付けて、固定は上部ハルにしているため、下部ハルがタブによって広げられる形になるのと、タブに0.3mmのプラ板を単板で使用したために今では何枚かが折れたり、折れかけたりしています。


 トースカンで切断面をけがきます。ハルの端からトースカンを横に静かに動かして、けがいていきます。この時に、トースカンを一気に横に滑らすのではなく、数箇所に印を付けつつ、その印をつないでいく感じにします。そうしないと、何度かなぞった時にけがき線がずれたりしてしまいますので注意してください。

 この時、万が一けがきの線がずれてしまった場合には、ラッカーパテなどで溝を埋め、硬化後に再度けがき直します。お勧めはアルテコの瞬間接着パテ『SSP-HG』です。数分でヤスリ掛けが出来る硬さに硬化するのと、非常に食いつきが良いので、この先作業を進めてもパテが剥がれたりすることがありません。もちろん、ラッカーパテのように引けたりしないので安心です。

 トースカンで一通りけがいたら、けがいた線をけがき針でなぞり、さらに深くしていきます。


 いよいよ、エッチングノコでの切断に入ります。エッチングノコが曲がらないように、ゆっくりと動かします。押し切りよりも引き切りで切った方が切りやすいと思いますが、切断する場所の形状によって臨機応変に刃を動かしてください。一気に切っていくよりも、溝をどんどん深くしていくイメージで切っていくと切断面が綺麗に仕上がります。


 切断のスピードは大体1時間に10cmくらいになると思います。『レベル 1/72 U-Boat Type VIIC』の場合、艦首側、サドルタンク部、艦尾側の3箇所*左右2の計6箇所に分け、1日に1箇所ずつ切っていき、全て切り終わるのに1週間ほどかかっています。

 こうして切断したハルの上下をあわせてみると、中央部や端の浮いて隙間が開いている事があります。そのような場合のためにハルの上下固定には一工夫が必要になります。

Back 1 2 3 Next

上へ TopPage

[2009/01/18:執筆:雲山]